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一人になった夜、初めて思い知った。
世界はとても大きくて、彼女がどうかした程度ではちっとも揺らがず。
他のものに何の影響も与えないことを。
科学が進んだ今では、昔の首都だった東京も荒れ果てていた。
光と闇とが混在し、一歩誤れば闇に踏み入ってしまうほど。
──そうして、ある子供も路地裏の細く暗い道を走り回るはめになっていた。
見上げれば四角く切り取られた空しか見えない中を、平然と駆け回る。
追っているのは厳つい男二人で、彼らは既に息を切らせている。
そんな彼らに追われ行き止まりにぶち当たって立ち止まった子供は、くるりと振り返って溜め息をつく。
「しつこいなぁおじさん達。とうとう追い付かれちゃったよ」
「はっ、地元の人間、なめんじゃ、ねーよ……ガキがっ」
いかにもガラの悪そうな男達は、子供を睨み付けて笑った。
けれど追われている子供のほうもまた、にっと口の端を上げて笑う。
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