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無視を決め込むレインに対して、お嬢様は尚も続ける。
「毎日ちゃんと来なさいな。素行が悪い人が一人いるだけで、クラス全体の評価が低下するのよ。学級委員長としては見逃せないわね」
そういえば、コイツも学級委員をしていたな。
まあ、面倒な裏仕事は委員長に押し付けて、派手で美味しいところは自分がやるという奴だが。
「貴女も学級委員なんだから、何か言いなさいよ。私にばっかり言わせるんじゃなくて」
「え、あ、えっと……」
急に話を振られた委員長は動揺し、言葉に詰まる。
その様子を見て彼女はこれみよがしに深い溜息をついた。
「これだから――」
「あー、はいはい、説教の続きは今度聞くからな」
お嬢様の言葉を遮り、やれやれといった風に鞄を手に席を立つレイン。
「レイン」
「気にすんな。午後には戻るから――まあ、今日は寝不足だし屋上でゆっくり寝るさ」
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! 私の目の前でサボるなんて……もう!」
彼は片手をひらひらと振りながら教室を出ていき、お嬢様は怒りながら自身の席に戻った。
その後を、取り巻き達が慌ててついて行く。
それと入れ代わるように、ローザが俺の隣に来た。
「なんで彼女、いつもレインに絡むんだろうね?」
「さぁな」
お嬢様の背中を眺めながらのローザの問い掛けに、適当な返事をする。
と、ここでチャイムが鳴り、先生が教室に入ってきた。
ローザが慌てて席に戻るのを眺めつつ、俺は忘れかけていた眠気を思い出す。
そして、先生による子守唄のような数学の授業が始まり、俺はゆっくりと睡魔にその身を委ねたのだった。
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