最初から迷ってない。

8/13
前へ
/229ページ
次へ
「ごほっ、ごほっ! ・・・・・・これで、邪魔は入らないわね」 出来損ないに、私が倒されるはずがない。 血だらけで倒れ伏した、アリシアの同じ顔の忌々しい亡霊を見下ろす。 『――行かせません。それが、マスターの願いですから』 「黙りなさい、鉄くずが」 コレと一緒に廃棄したはずのは失敗だったわね。 次元空間にでも捨てるべきだったわ。 「邪魔をしなければ、この亡霊を助けてあげる。私たちはアルハザードに行く。この世界に人形と亡霊が残ろうが、興味はないわ」 ああ、もうすぐよ。 庭園が崩壊していくと同時に、次元震が起きようとしている。 ――次元の狭間、其処にアルハザードへの入り口がある。 「この様子じゃ、そのうち死ぬでしょうけど――どうするのかしら、あなたのマスター、死んじゃうわよ?」 動かない亡霊の腹を蹴ると、面白いように飛んだ。 『マスター!』 「もう用はないわ。何処へでも消えなさい」 地響き。 もうすぐ、もうすぐよ。 道が開く。 ああ、アリシア・・・・・・。 『・・・・・・あなたは最低の母親です』 鉄くずが何か言っている。 デバイス如きが、人の気持ちを語れるはずもないのに。 『マスターを、フェイトを、自分の都合で生み出し、そして捨てる・・・・・・やはり私は、あなたを救いたいとは思えない』 救う? 私たちにとっての救いは、アルハザードにある。 亡霊や人形に救えるはずもない。 『――アルハザードへ落ちればいい。愛するあなたの娘と共に』 元よりそのつもりよ。 私は自分の意思で、アルハザードへ―― 「――その背中はボクたちが押してあげる。レイジングハート」 『stand by ready,set up』
/229ページ

最初のコメントを投稿しよう!

436人が本棚に入れています
本棚に追加