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「ごほっ、ごほっ! ・・・・・・これで、邪魔は入らないわね」
出来損ないに、私が倒されるはずがない。
血だらけで倒れ伏した、アリシアの同じ顔の忌々しい亡霊を見下ろす。
『――行かせません。それが、マスターの願いですから』
「黙りなさい、鉄くずが」
コレと一緒に廃棄したはずのは失敗だったわね。
次元空間にでも捨てるべきだったわ。
「邪魔をしなければ、この亡霊を助けてあげる。私たちはアルハザードに行く。この世界に人形と亡霊が残ろうが、興味はないわ」
ああ、もうすぐよ。
庭園が崩壊していくと同時に、次元震が起きようとしている。
――次元の狭間、其処にアルハザードへの入り口がある。
「この様子じゃ、そのうち死ぬでしょうけど――どうするのかしら、あなたのマスター、死んじゃうわよ?」
動かない亡霊の腹を蹴ると、面白いように飛んだ。
『マスター!』
「もう用はないわ。何処へでも消えなさい」
地響き。
もうすぐ、もうすぐよ。
道が開く。
ああ、アリシア・・・・・・。
『・・・・・・あなたは最低の母親です』
鉄くずが何か言っている。
デバイス如きが、人の気持ちを語れるはずもないのに。
『マスターを、フェイトを、自分の都合で生み出し、そして捨てる・・・・・・やはり私は、あなたを救いたいとは思えない』
救う?
私たちにとっての救いは、アルハザードにある。
亡霊や人形に救えるはずもない。
『――アルハザードへ落ちればいい。愛するあなたの娘と共に』
元よりそのつもりよ。
私は自分の意思で、アルハザードへ――
「――その背中はボクたちが押してあげる。レイジングハート」
『stand by ready,set up』
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