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「――なんだよ、これ・・・・・・なんでこんなんで生きてるんだ!?」
「腕と足、ギリギリ繋がってるだけじゃないか・・・・・・」
タクミを寝台に寝かせると、待っていたのは医療局員たちの困惑した声。
「生きてるものは生きてるんだ! 早く治療の準備を!」
ボクの言葉に、漸く動き出し、医療機材をタクミに繋げていく。
「ヒーリング・・・・・・ッ」
レイジングハートを使ったせいで、ただでさえ少なかった魔力を、ほとんど使い切った。
「あなたたちはヒールを掛け続けてッ、殺菌室は!?」
「右の扉だ! 服は脱いでいってくれ!」
邪魔な服を破るように脱ぎ捨て、殺菌室へと走る。
「え――? お前・・・・・・」
呆けてる暇があるなら、速くタクミを助ける努力をしろ。
それがお前たちの仕事だろうッ。
扉を開け、魔法陣の上に乗ると光がボクを包み、それが収まると、白衣に袖が通っていた。
「容態はっ?」
「ダメだッ。内臓が弱ってるのと、こいつは・・・・・・ッ」
正確な情報も伝えられない局員を無視し、モニターが映し出す情報に目を通す。
――骨が変形して、内臓に突き刺さってる・・・・・・クローンとして不完全だったのは内臓器官だけじゃなく、骨格もかッ。
「――このままじゃ、いくら魔法を掛けても意味がない・・・・・・切らなきゃ」
「む、無茶だ! 艦に常駐してる医療局員の中に、人を切ったことがある奴なんていない!」
「ボクがやるって言ってるんだ!」
死にかけている命が目の前にあって、それを黙って見ているようなあなたたちには期待してない。
「お前みたいなガキに何ができる!?」
うるさい。
怪我人が運ばれて来たら、ただ本局に転移させる。それの繰り返ししかしていない奴らよりは、できるさ。
何の為に医療魔法を覚えた。
何の為に医術書を読み漁った。
全部、無茶ばかりするタクミの為だ。
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