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「ただいまっ!」
自分の家に帰って、そう言った時から、私の日常が帰ってきた。
あれから数日、アースラでフェイトちゃんに会えないまま過ごした後、こうして帰ってきた。
心残りはある。
それでも、家族に会って、友達に会って、自分の部屋のベッドに横になった時は、とても落ち着いた。
「フェイトちゃん・・・・・・大丈夫かな」
疑問を口にする。
だけど、それに答えてくれる人は――ユーノくんはいない。
ユーノくんが眠っていたバスケットにはフェレットの姿はなく、その隣に赤い球――レイジングハートが置かれているだけ。
「・・・・・・そう、だよね」
ユーノくんはいない。
タクミくんを治すため、アースラに残った。
思い出すのは、一瞬だけ見た、タクミくん。
人とは思えない姿。
まるで、潰れたトマトのようで。
ぐちゃくちゃの、タクミくんにユーノくんは迷わず触れて、治していった。
「私が撃った魔法も・・・・・・誰かをあんな風に傷つけちゃうかもしれないんだ」
そうすることが、出来てしまう。
怖い。
フェイトちゃんとクロノくんは怪我はしていないと言っていた。
純粋な魔力ダメージだけだって。
そうだとしても、私は怖い。
フェイトちゃんとおはなししたくて、その為に撃った魔法が、全てを壊してしまいそうで。
あの時は――嫌われてもいい。
ただ、フェイトちゃんに止まってほしくて撃った。
でも、本当は嫌われたくなんてない。
友達に、なりたい。
また、あまり眠れなかった。
朝日に目をこすりながら、体を起こす。
最近は寝不足気味だ。
不安で堪らなくて。
――――♪
ケータイのアラーム。
止めようと思い、手に取る。
背面のディスプレイに表示された文字は、チャクシン。
ケータイを開くと、そこには時空管理局の文字。
「――は、はいっ! もしもし!」
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