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「・・・・・・ふぅ」
二人から離れ、ベンチに座る僕たち。
・・・・・・正直、僕には理解できない。
あんな風に自分の弱さをさらけ出して、泣くということが。
理解できないし、することもできない。
――ふと、隣に座るアルフの肩、ユーノに視線を向ける。
「――君から見て、どうなんだ? 彼女たちは」
気になった。
ユーノ・スクライアは、どう思うんだろうか。
現実主義者。
多分、僕に一番近い考え方の持ち主であるユーノは、どう感じるんだろう。
「うぅっ、感動的じゃないかっ。ユーノぉ、ほんとになのははいい子だねえ・・・・・・」
答えたのはユーノではなく、涙でぐちゃぐちゃなアルフだった。
一つため息。
ハンカチを手渡す。
「どうしたの?」
「君はあの光景を見て、どう思うのかと思ってね・・・・・・」
涙ながらに抱き合う二人。
確かに感動的な光景だが・・・・・・理解できない。
僕だけなのか?
「うーん、なのはもなんだけど、フェイトは痩せすぎだよね。環境を考えれば仕方ないことなのかもしれないけど」
「・・・・・・そういうことを言ってるんじゃない」
冗談だよ、と僕の言葉に返すユーノ。
「ふふっ。男の人には理解できないのかもしれないね。意地っ張りで、自分の意志を中々曲げない男の人には」
フェレットの黒々とした瞳と目が合う――まるで、心の中まで覗き込まれるような感覚に、目を逸らす。
――ユーノは、なんと言えばいいのか・・・・・・少し、出来すぎている。
「だから男の人は探すんじゃない? 泣き顔を見られてもいい誰かを」
「・・・・・・そうだろうか。少なくとも僕は、人前では泣けないよ」
泣き顔なんて見られたくない――男はみんな、そうなんじゃないだろうか?
・・・・・・やっぱり、理解できない。
「でも、クロノにはもういるじゃないか――――エイミィ、だっけ?」
「な、なんでエイミィが出てくるんだっ!」
ドクンと心臓が、いや、肩が跳ねた。
「ぐすっ・・・・・・あ、やっぱりそうなのかい? 匂いが混ざってたから、気になってたんだ――昨晩はお楽しみだったんだね?」
「うわぁぁぁあ!? なにっ、お前ら、デリカシーが無さ過ぎるぞ!?」
「別に、君たちの年齢なら珍しくもないでしょ?」
アイツと関わった奴には、碌なのがいない。
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