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「あの、フェイトちゃん・・・・・・タクミくんは――」
フェイトちゃんと友達に慣れた。
でも、私の背中を押してくれたもう一人の友達の姿は此処にはない。
「兄さんは――――その、魔法で自爆しちゃって・・・・・・」
「・・・・・・自爆?」
「私も詳しくは聞いてないんだけど、母さんを助ける為に無茶をしたって・・・・・・ユーノさんが」
どんな無茶をしたら、どんな魔法を使ったらあんな風になるんだろう。
忘れたくとも忘れられない。
「そう、なんだ・・・・・・」
「でもっ、ユーノさんが兄さんを助けてくれてっ。今は眠ってるんだ・・・・・・寂しいけど兄さんのこと、休ませてあげないと」
寂しさと優しさが入り混じった表情で言うフェイトちゃん。
「フェイトちゃん・・・・・・大丈夫?」
「――私は大丈夫だよ。兄さんのことはユーノさんが約束してくれたし、アルフがいて――友達がいるから」
その言葉に、思わず抱きつく。
「フェイトちゃんっ」
「もう、時間みたいだね・・・・・・」
せっかく友達になれたのに、せっかくおはなしできたのに・・・・・・。
「思い出にできるものって、これぐらいしかないけど・・・・・・」
髪を結んでいるリボンを解く。
せめて、何か形に残るものを渡したかった。
「それじゃあ、私も――」
フェイトちゃんも黒いリボンを解いて、私の手に重ねてくれた。
「今はお別れだけど、絶対にまた会えるよ。私たちは生きてるから――」
生きてる――永遠のお別れを経験したフェイトちゃんにとって、これはさよならじゃないんだよね。
だから私も、笑顔で――。
「またね、フェイトちゃん!」
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