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「あの――ユーノ・・・・・・さん」
先ほど、医務室に入ってきたフェイト。
数分、あちらこちらに視線を彷徨わさせていたが、意を決したように私の名前を呼んだ。
「そんな風に構えなくたって、別に取って食べたりしないよ」
思わず苦笑い。
まるで小動物のような彼女。
「・・・・・・兄さんを助けてくれたのがユーノさんだって聞いて――お礼を言いたくて。ありがとうございましたっ」
「――ふふっ。確かに受け取りました。優しい子だね、君は。タクミとは大違いだ」
口下手で、タクミの妹とは思えない。
「兄さんにはいつ会えますか・・・・・・?」
「身体の調整との傷の完治、合わせて二ヶ月、ってところかな」
「兄さんに二ヶ月も会えない・・・・・・」
途端に表情を暗くするフェイト。
「少しだけ、タクミを休ませてあげよう」
「はい・・・・・・えと――ユーノさんも、兄さんが好きなんですね」
補足。
絶対にタクミの妹じゃない。
タクミはこんなに鋭くない。
後、もうちょっと脈絡のある会話ができる。
「え、あ、なんで・・・・・・そう思うのかな?」
「だって兄さんのことを話すユーノさん、すっごく綺麗だったから」
・・・・・・慣れない。
タクミと同じ顔、同じ声で褒められることに。
「アルフが兄さんのことを話す顔と、同じ顔」
それを言うなら、君がタクミのことを話す顔とも同じだよ・・・・・・ブラコンめ。
これでタクミがシスコンなんだから、手に終えない。
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