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「柚季、はよ走りぃや!!」
そう私に怒鳴りつけるのは、幼馴染の南柘。
私は乱れた呼吸を整えながら負けじと叫ぶ。
「あかんて、もう諦めよやあ~」
「何言ってんねん!まだセーフや!ほれ!」
私の目の前に差し出される私より大きな手。
その手を見た時、少しだけドキンっと小さく心臓が疼く。
「何ぼーっとしてんねん!はよ!」
見かねた南柘が私の手をひっぱり、速度を上げながら走りだす。
丁寧に塗装されたコンクリートの地面を駆け、いつもの赤坂のおじいちゃんちの庭を抜ける。
「おはようさん。」
今日もおじいちゃんは笑顔であいさつをくれる。
「おじいちゃん、おはよう」
私も答えると、また忙しく、走り出す。
いつもの校門が見えてくる。
校門をくぐり抜け、校舎に入るとタイミング良く、チャイムの音が響く。
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