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「ちゃうねん、山ちゃん。南柘が寝坊して、待ち合わせ遅刻するのが悪いねん」
私は山ちゃんに笑顔で報告する。
「はいはい。毎朝石川が寝坊すんねんがアカンやろ?聞き飽きたわ」
ふざけならがら、疲れたふりをして、額に手を当てる山ちゃん。
そんな山ちゃんに南柘は何も言わずに私に話し掛ける。
「柚季、俺先教室行っとるわ」
さっきまでの、テンションはまるで真逆の冷たい言葉に、私はうん、と応えるのが精一杯だった。
「なんや、やきもちかいな…」
山ちゃんが何かぼそっと呟いたような気がして、私は山ちゃんの方を向いた。
山ちゃんは南柘が歩いて行った場所を見つめ、微笑んでいた。
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