これから。

2/8
552人が本棚に入れています
本棚に追加
/109ページ
「プレシア、準備が出来たよ」 「――そう」 時間は掛かったけど、いよいよね・・・・・・。 「アリシア。本当にこれで許してくれる?」 「うんっ」 ああ、よかった・・・・・・。 「それじゃ、始めましょう」 「ああ――くくくっ、向こうの私の思惑を、此方の私が掻き乱す。ゾクゾクするねえ。クローンであっても、やはり根源は同じ、ベクトルが違うだけだ」 ・・・・・・また始まった。 向こうの奴よりはまだマシだけど、アリシアの近くに置いておきたくはないわね。 「それじゃあ一つ、大きな花火を打ち上げようじゃないか!」 「目立たないようにしてちょうだい。もし間違って艦を撃墜したらどうするのよ」 頭痛が酷いわ、本当。 このマッドの相手をするのは疲れる・・・・・・。 「さあ、物語の始まりだ!」 ポチッとな。 そんな擬音が聴こえてしそうな動作で、マッドがスイッチを押した。 「罪滅ぼし・・・・・・らしくないわね」 自らが犯した罪は誰も背負うことができない。 一生背負って生きていくしか、ない。 たとえ私の行動が“呪い”によって引き起こされたものでも、それは変わらない。 だから―― 「フェイト、タクミ――私は謝らないわ」 私を恨みなさい。 私はあなたたちを娘とも、息子とも思わない。 「大人がしたことに子供は何の責任もない。子供がしたことは、大人の責任――それだけのことよ」 光を見つめながら、誰に言うでもなく、私は呟いた。
/109ページ

最初のコメントを投稿しよう!