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「プレシア、準備が出来たよ」
「――そう」
時間は掛かったけど、いよいよね・・・・・・。
「アリシア。本当にこれで許してくれる?」
「うんっ」
ああ、よかった・・・・・・。
「それじゃ、始めましょう」
「ああ――くくくっ、向こうの私の思惑を、此方の私が掻き乱す。ゾクゾクするねえ。クローンであっても、やはり根源は同じ、ベクトルが違うだけだ」
・・・・・・また始まった。
向こうの奴よりはまだマシだけど、アリシアの近くに置いておきたくはないわね。
「それじゃあ一つ、大きな花火を打ち上げようじゃないか!」
「目立たないようにしてちょうだい。もし間違って艦を撃墜したらどうするのよ」
頭痛が酷いわ、本当。
このマッドの相手をするのは疲れる・・・・・・。
「さあ、物語の始まりだ!」
ポチッとな。
そんな擬音が聴こえてしそうな動作で、マッドがスイッチを押した。
「罪滅ぼし・・・・・・らしくないわね」
自らが犯した罪は誰も背負うことができない。
一生背負って生きていくしか、ない。
たとえ私の行動が“呪い”によって引き起こされたものでも、それは変わらない。
だから――
「フェイト、タクミ――私は謝らないわ」
私を恨みなさい。
私はあなたたちを娘とも、息子とも思わない。
「大人がしたことに子供は何の責任もない。子供がしたことは、大人の責任――それだけのことよ」
光を見つめながら、誰に言うでもなく、私は呟いた。
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