第一章

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 塾には通った事があるだろうか?  塾とは学校とは別に勉強する至極大変な場所である。塾に通う目的は勿論勉強する為だ。だが、塾に通うには各人それなりに動悸はある。簡単に十把一絡してしまっては可哀想というものだ。では、塾に通う動機とは何か。例であげるなら成績を上げたい、良い高校、良い大学に行きたい、親の要望と様々だ。そんな無数にある動悸の中、『進学』と言うたった一つの理由に焦点を当てられた塾がこの新宿に置かれた『明光塾』である。  明光塾は前述通り進学を目的とした塾だが、その枠は実に幅広い。幼稚園が小学校へ、小学校が中学校へ、中学校が高等学校へ、高等学校が大学へ、これら全てに置いての範囲を取り締まっている。進学においては栄光ゼミナール等と並ぶ随一の有名塾だ。  唯、幼稚園と小学校は部門が別と言うことで此処の建物には無く、少し離れた地域に幼稚園小学校部門での特別塾が建ててある。駅から徒歩数分にある四階建ての明光塾はまさに中学高校を仕切る中高部門だ。構造としては一階が入り口であり、生徒証明である特注カードをエレベータ―の横にあるスキャナに通すことでエレベーターに乗る事が出来、そのまま階数を選ぶ。中学は三階、高校は四階と言った具合にだ。因みに二階は職員用である。エレベーターから降りると、出てすぐ目の前にあるガラス製の扉の横についてるスキャナに再びカードを読み込ませることで開門。漸く塾内に入る事が出来ると言う訳だ。一つの階に三つの教室があり、そこに十人の生徒の振り分けされている。また残りの二つの教室はマンツーマン専用の特別教室である。何故一つだけマンツーマンではない十人構成の狭い教室が存在しているかと言うと、言うなれば成績が低いはぐれ者と言う訳だ。それでもこの塾に通う以上、一応頭脳明晰の肩書を持つのだが、それでも最低ランクの人間をそこに集め、一括に指導する為だ。この教室の目的としては教員の人員削減、時間削減等の塾の内面的考慮が生み出したものばかりである。どれだけ負担をかからないようにするかと言う考えが生み出した悲しき産物なのである。
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