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そんなはぐれ者達の為の教室は非常に狭い。だが綺麗な机、白い壁、綺麗な床などなど、全てにおいて整備が整っているところが一応有名塾らしさがあるが、その明るさとは別に非常に憂鬱そうな少女が一人座っていた。何やら悩んでいる様子である。
暗い雰囲気を放つ少女が溜息を吐いた時、それに応じるかのように彼女の栗毛の髪が靡く。フワリと花弁が舞うような柔らかい髪は静かに肩へと触れた。頬杖をつきながら、彼女の大きな瞳は窓へと向かった。太陽が沈み、既に月光を世界に見せている。この毎日とでも呼べる一日の変化を通し、それと比較して自分の変化に嘆く。頬杖を已め、自分の白い肌を指でなぞりながら平を反転し甲で頬をつきなおす。小さい唇からもう一度息が吐かれた。
「どうした? 元気ないな?」
声に反応して、窓を映していた彼女の瞳はある少年へと向けられた。此方を表情を窺う少年は彼女にとってよく見知る顔だった。ツンツンとしたかたそうな短髪は活気溢れるスポーツ少年を連想させるが、顔立ちは眉毛が細い、眼が糸目、鼻も細いと言った細い尽くし。熱い、と言う言葉からはかけ離れた、例えるなら狐の様な顔つきだ。言わずと知れたはぐれ者メンバーの一人である。
「んー……そうかなぁ? 顔色悪く見える?」
頬をつくのをやめ、体を少年へと向き合わせる。心情が表情に出ていたのかなと疑念を抱いた彼女は自分がどんな顔しているか聞き返す。男は顎に手を当て、彼女をあらゆる角度から視察する。熟考した結果、答えがない問題の一つの解答を述べてみた。
「顔色悪いって言うか、暗いオーラが出てる感じだな。なんか近寄ったら呪われそうな気がする」
「なんかそれ嫌だなぁ。陽気なオーラは出てないの?」
「一切合財出てないな。塩でもまいといてやるよ」
男友達にそう断言され、しょ気込む少女。
そうか、私は陰鬱なオーラを放つ暗い少女だったのか。
などとマイナス思考に走りつつある中、一人勝手に落ち込む少女を愉快そうに眺める少年。彼女が堕ちていく様を楽しそうに眺める。ふと急に、彼は含み笑いを零した。
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