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「流石! 流石! 俺の見込んだ女性……じゃなくて少女だ! バリエーション様々な話題とその知識ネットワークの広範囲! 文句なしの大正解だぞ黒峰(くろみね)楓! 」
「あら、褒めても何も出ないわよ」
楓がクスクスと笑う。満更でも無さそうな顔をしている。
「だが! 口裂き女の話はそこで終わりじゃない! 起因の次は流行した原因だ! 述べてみろ! 燕!」
「わ、私?」
思わぬ無茶ぶりに動揺する。自分の事を指差し指名されたのが自分か再確認してみる。じぶんじゃなくて楓の聞き間違いではないだろうかと言う意味合いも込めているが、現実とは嗚呼無情、彼の高まったテンションの矛先は明らかに燕へと向けられている。
「そうだその通りだ! お前以外考えられない! 」
楓にバトンタッチ出来る隙はなく、ましてや茶々を入れてはいけない状況と分かりつつ、彼女はどうする事も出来なかった。どうしようどうしようと考えるが、何一つ思いつかずな訳で。
「えっと、えっと……」
焦りと緊張か頬を紅潮させて小さくあたふたしている姿は小動物と同じだ。どうしようと何度も何度も考え、思いつかない私は駄目な奴だと何度も落ち込む。その無限ループを繰り返してる為一歩も先に進まない。ループ現象に苦しんでいると、楓が燕の後ろに立って、ひっそりと脱出経路を助言した。助言を頼りに出口へと向かう。
「こ、子供がお母さんから聞いた話を友達にしたのがきっかけ……かな?」
「なんだ、正解してやがる」
「冷たいわね」
炎天下から氷河期と打って変わった温度差に楓が呆れる。どうやら間違えて欲しかったのだろうけども、燕から言わして貰うと酷いの一言だ。
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