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「じゃあ楓。続きを頼む」
「言う事あるかしら? ま、簡単に経緯を言うとその噂が近所の友達に広がり、友達が塾の友達に広め、その塾の友達が地元のへ友達へと広め、聞いた友達が母親へと話す。聞いた母親は別の母親へと話して、と言うように鼠算式でこの噂が拡大した訳ね」
言うなれば大勢の人間の力が架空を実現したという事だ。根も葉も無い、何もない噂が社会問題を引き起こすとはちゃんちゃら可笑しい話ではあるが、本当に起きたものだから恐い話だ。
「でだ」
少年から吐かれた台詞は最初に話したテーマを戻すと言っている様なものだ。勿論、彼が最初に話した話題はと言うと。
「通称神様は何故流行るのかと言う話題に戻そうか」
楓は悪魔で途中から参加した為、通称神様の話は何一つ聞いていない。口裂き女の話はもう終わりかとガッカリしつつも、まだ触れてない『通称神様』と言う新しい話題に興味関心が生まれる。どんな話をしていたのかなと楓は燕に話の内容を訊ねた。
「あら、そんな話をしていたの?」
「うん。さっきまで如月(きさらぎ)くんが話してたんだよ。と言っても何でも願いを叶えてくれるぐらいしか聞いてないんだけどね」
漸く出た少年の名前。燕曰くの如月くんは実に意気揚々としている。テンションメーターを振り切る勢いで登り詰める彼のハイテンションは評価に値する。勿論悪い意味でだ。
「そうだ! その通りだ! 通称神様は人々の願いを叶えるといった噂らしい噂を持った空想人物。そんな夢物語が存在してるなど正に七十五日! 長く続く訳が無い! だが、しかし! だーがしかし! この噂は昨日一昨日流行ったものではなく、去年一昨年と年単位で流行り続けている! 口裂き女でさえ一年持たないというのにこの差は一体何なのか! 何だと思う燕!」
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