第一章

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 「ま、また私が答えるの……?」  陰湿な燕に対する攻撃が集中砲火する。被爆しまいとなんとか回避しようと努力するが矢張り現実は無情である。周囲は完全に地雷で埋め尽くされ、一歩も動けない状況と化した。さぁ、どうする。彼女はどう切り抜ける。当然、回避する術が無い彼女は泣く泣く脚を失うことになるだろう。苦悩していると、上空から梯子が降りてくる。上を見上げれば楓がヘリに乗って梯子を下ろしている。逃げ道はまさかの空中だとは誰が思うまい。  「通称神様が実際に多人数に目撃されてるからよ。そう云えば大体正解してるわ」  「つ、通称神様が多くの人に見られてるから」  抽象表現ではややこしいので簡単に言うと楓が燕にカンペを見せました、と言う事だ。  「残念」  「えっ?」  楓の答えまでもが違うとは驚きを隠せない。当の本人は気にしてないようだが、また何か言われるのではないかと燕は冷や汗ものだ。神妙な顔つきで口を開く如月に目を離せずにいた。  「正解だ……」  「あなたサドねぇ」  彼は燕を陥れたいらしい。遊び心なのだろうけども、燕としては矢張り笑えない。それでも咎められないと分かった以上、結局は胸を撫で下ろすのだった。
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