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「ま、結論的に言うと噂の力はすごいって事さ。火の無いところに煙はたたない。深夜の火遊びは危険だからな。塾の帰りに噂と出会えるかもしれないぞ。それが通称神様だろうが口裂き女だろうがな」
「い、嫌な事云わないでよ……」
彼女の不安を煽る彼の言葉は脳に語りかける様な、不思議で不愉快な感覚を覚える。言葉は彼女の背筋を凍えさせた。その姿がまた愉快に思えたのか如月は意味深に含み笑いをする。すると今度は何かを思い出したかのような顔つきを彼女に見せた。
「そうだそうだ! 今朝面白いの見つけたからお前に教えようと思ってたんだ」
「お、面白いものって……何かな?」
大体如月が面白いというものは彼女にとっては面白くないもの、と重々承知しているが、聞かずにはいられない彼への不信。
「いやなに! 余りに面白すぎてたまげるぐらいだ。誰にも教えたくないのだが、お前だけに特別で教えてやるよ。後でメールで教えるから楽しみにしていろ」
人差し指を口元に当て、静かに語りかけた。『私だけに特別』程妖しく思えるものはない。彼女の経験上、彼女にとってのデメリットでの話が容易に察する事が出来た。携帯の電源を切っておこうかと思索する。
「楓ちゃん。私、メルアド変えようかな」
「あら、随分大きく出たわね」
遠い向こうを見るがその先には人為的に創られた恐怖しかない訳で。
時計の針は調度夜中の九時を指した。
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