第一章

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 『関連性? 無差別と言う訳ではないんですか?』  『はい。そうなんですよ。ですから通り魔と言うよりかは切り裂き魔と言う言葉の方が適任となりますね。で、ですねその犯行の関連性と言うのはどういったものかと言うと』  男性と女性が神妙な顔つきで一つの噂に対し、話し合っているのは容易に連想できる。男はそのイメージに溺れていると、ブツンと大きな音共に、彼は娯楽から切り捨てられた。  「……? 聞こえないな」  男はラジオをガンガン叩いてみるが、音沙汰なし。どうやら故障したのだろうか。電池を取り換えてみたり、と試行錯誤するが、うんともすんとも言わずである。話の続きが気なるのか、ソワソワと実に落ち着かない。だと思ったら机からドライバーやらの工具を取り出し螺子を外し始める。修理できるほどの技術を持っているのかは知らないが、見る分実に荒い。あれは螺子を外すというより螺子穴を削っているというのが正しい。最初からこれなら直る見込みは無いとみた。そんな素人修理に励む途中、ポケットの中の携帯電話が鳴りだした。単調な音は彼の作業を一時的に止める。右手に握るドライバーを放り投げると、ポケットから自分のスライド式の青い携帯電話を取り出し、ボタンを押して電話に出た。忘れていると思うが今は仕事中である。  「もしもし?」  『俺だよ俺! 悪いけど頼みたい事あるんだけど今大丈夫?』  受話器の向こう側から聞こえる息は荒く、言葉を捲し立てるその様は実に落ち着きが無い。何やら只事では無い様子だ。警察官は非常に落ち着いた態度で彼の質問にゆっくりと応えた。  「あぁ、その声は天塚(あまづか)か。構わない、何でも言ってくれ」  警官は声を聞いただけで持ち主が分かると言う素晴らしい能力を持っているようだ。警官の返事に天塚は『助かるよ』と感謝の意を示すと、本題の言葉を切り返した。  『今から言う場所を見張っていてくれ!』
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