第二章

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 「どーもこんばんは。久しぶりだねい」  そう、その人物とは燕と先程接触した天塚である。彼の特徴その二である笑顔を見せながら、彼は彼女の横に座り込んだ。肩が密着するほどの天塚との至近距離に驚き、慣れない彼女は思わず数センチの距離を取る。燕は顔を俯きながらえと、あの、とどもる単語を出すだけだった。  その様子に気にする素振りを見せず、彼はポケットから携帯を取り出すと、それを彼女に手渡した。  「ホラ、携帯をアンタに渡そうと思ってたんだよ」  「えと、あ、あの! ありがとうございます!」  携帯を受け取ると、やっぱり顔を真赤にしながら返事する。顔など一切合わせようとせず、永遠に下を向いたままだ。携帯をカチカチといじると、それを携帯に仕舞った。  「あ、あの! お兄さんの携帯も、か、返しておきますね」  「あ、サンキュー」  まるで粗品でも贈呈するかのような態度で携帯を恐る恐る手渡しする。受け取った携帯は別に饅頭でも洗剤でも何でも無いが、嬉しそうに自分の電話を受け取ると、それをポケットに仕舞った。燕は天塚が視線を外すと、ここぞとばかりに顔をあげて天塚の事を黙視する。天塚が此方に気付いて顔を向けたらまた視線を下に向けると言った動きを何度も繰り返していた。何か言おうとしているのだが、中々決心がつかない。長い沈黙の間に覚悟したのか、漸く話題を一つ振る。  「と、ところで!」  「へいへい?」  「ど、どうして私の場所が分かったんですか」  燕は実は出会ってからずっとこれが聞きたかった。だけど彼女の性格上そう易々と聞ける訳もなく、何度も何度もタイミングを窺っていたという事だ。  「GPS」  「え?」  「GPSだよ。俺の携帯についてんのさ」  「あ、なるほど」  「まぁ、自分の携帯のGPS追う為、お友達の携帯を借りたんだけどね」
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