第二章

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 彼女はゆっくりゆっくりと明光塾と親と自分の因果を説明していく。  はぐれものと言うクラスの意味を最初から語り出す。遡りもう一度言うと、明光塾は有名進学塾である。勿論、有名と言う事は多くの人々から賞賛を受け、確かなる実績があるという事だ。それはつまりその塾への入塾の志望者が他よりも多いという事にも繋がる。幾ら他の場所にもあるとはいえ、入塾出来る数は限られてくる。そんなにいる中で塾側と言わせたら、より馬鹿を天才へと変えるよりかは、元々高い能力を持った秀才を更なる天才へと磨く方が楽でもあり、コストも少なく、平均点も上昇し、天才集団と言う肩書を持ち更に高みへと目指す事になる。ならどうすれば多くの人間から秀才を導き出すのか。それは実に簡単で入塾試験を行い入塾志望の生徒にふるいがけをするのだ。そうすれば自然と天才が導き出せるということだ。    つまり、このシステムによって、見事入塾に成功した燕は天才の肩書をぶら下げる事が出来る。当然親も鼻が高いだろう。だが、塾と言うのは合格は始まりに過ぎない。ここに居座り続け、難易度の高い学問から導き出される成績を高い位置で維持しなければならないのだ。何故ならこの塾には前述に述べた通称はぐれものと呼ばれたクラスが特別に存在するからである。では、はぐれものとはどういったクラスか、何故存在するのか。理由を幾つか同じく前述に述べたと思うが、何故このクラスが存在するのかを考えてみて欲しい。  理由は実に簡単なのだ。はぐれものの教室とは所謂、生徒に対する最終警告見たいな物である。塾には一月毎に毎回試験を行う。その試験の成績の結果がはぐれもの教室と特別待遇の教室へと分けるのだ。    つまり、母親のメールの文章から『成績が落ちた』と言う事は即ち『はぐれもの教室に落ちた』と言う事に繋がる。そしてこの教室の異動は最終警告と言ったが、何が最終警告なのか。それは俗に言う『クビ』である。はぐれものに堕ちたという結果は次に成績が悪かったら後が無いという意味合いが込められた最終警告なのだ。当然、最終警告、ましてやクビなど彼女の両親が認めるわけがない。帰ったら怒られるのは目に見えていたのだ。
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