第二章

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 『君が本題を用意しているとは、予想だにしない事だな。それで本題とはなんだ?』  「昨日頼んだ通り魔の話だ。用意してくれてるよな?」  『ふむ、幾分かの情報をあらかた用意はしている。ただ時間が足りないのもあるが、いま一つ君の要望に応えられる程の物は用意できていない。それでも構わないか?』  「気にしねぇよ。急かした俺も悪いからな」  茶々を入れることも無く、ボケと突っ込みの様な軽やかな流れで会話が成立していく。今の現状に言う事は無いが、敢えて言うなら先ほどよりも沈静化していると言ったところだろうか。  「先ず、あの通り魔は何者だ?」  『さて、君の質問は奴が何者かと言えば答えは『変人』と言う言葉が正しいだろう。自分の行いを一つの正義だと考えている勇者気取りの偽善者と言うところだ』  赤羽が何故奴を知りたがっているのかは数時間前言っていた人物の依頼が関係しているのだろう。通り魔も調べてみるとも言っていたからその調査が本条へと至ったのだ。だが、本条が何故奴の存在を知っているのかは何時明かされるのかは分からない。謎は伏せられ、別の謎を解き明かす。  「アイツの手口を知りたい。っていうかソイツはその場で殺すのか誘拐してから殺すのかが一番知りてぇことだ。その場で殺すなら期待すんのはよしておく。で、どうなんだ?」  『その場で殺す事もあるが、大体は隠れ家見たいな処まで運搬するらしい。死体が公になるのは通り魔がその場で殺した死体だけだ。その隠れ家には殺す為のストックがあるとも聞いた。だから安心しろ。君の探し人は生存の可能性がある。悪魔で可能性の範囲だがな』  「そうか、そりゃ嬉しい朗報だ。でも馬鹿な事言うんじゃねぇ。んなこと言ったら報道されてる人数より多い事になんだろーが」
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