無色に落とされた色は

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けれど、前者の不安は束の間だった。 彼等以外に、明らかに特異な色があったからだ。 壁際、中央の辺りに――花が飾られている。 名前などには考えも及ばなかったが、複数の花が集まり、まずその花自体が称賛出来る美しさだった。 それが、この空間の唯一とも言える変化のようで、より目を引く。 白い世界に浮遊するような錯覚に陥る程だった自分達には、1つの求めていたものであったと言えるだろう。 けれど……それに美を感じたとしても、意図など理解出来ず、更に疑問が深まる。 この景色にも状態にも不釣り合いで、むしろ目を反らしたくなるものだった。 ……のだけれど、その向こう側 ――"光"がこぼれている。 無機質な光ではない。 これは多分――
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