無色に落とされた色は

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無意識にではない――視線が飛び交う。 これは、次の行動を他者に促す視線。 すると…… 1人が、光の漏れるその間にそっと指をかけ――ゆっくりと横に引いた。 光が、花に降りかかる。 その様が、この時は皮肉にも、希望のような――進むべき道のようなものに見えた。 誰もが、言葉には成らない声を漏らしていた。 皆が感じた。 ――あたたかい。 “陽”が、頭上のものとは確実に異なる意味を持って、自分達を眩ませた。 そして、その明かりも含め、開かれた範囲から覗く ――“緑”? 訝しみおののきながらも、この状況を少しでも変化に導き、理解したいという欲求―― それでも、周囲に促すかのような視線を投げかけるが―― 誰もが、不安から脱したかったのだ。 私達は―― 輝く花を背に、進んだ。
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