無色に落とされた色は

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再び、感嘆や疑問に声が漏れた。 濃淡様々で鮮やかな緑が、視界を全て覆い隠すように敷き詰められていた。 陽が、そんな色を取り入れているかのように、どこか緑色を帯びているように見えた。 そう――自然だ。 天を仰ぐ。 独自の世界を創る緑から、かろうじて"青"が窺えた。 その姿は、人工からかけ離れた、純粋な生命を想わせる。 再び理解不能な状況に陥ったことに変わりはないのだが、 そんな風景に恍惚とし、一時思考は停止した。
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