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黒い霧の中で――覚醒する。
瞼の下からでもわかる、自分に降りかかっている光。
――薄く瞼を開く。
白い光が、容赦なく瞳を射る。
まだ瞳は、靄がかかっているかのように朧だ。
その上、その光はまるで絹のように柔らかく滑らかなのに、
今、この目には小さな脅威だった。
けれど、震える瞼は治まりを見せ、映すものは徐々に姿を晒し始める。
意識と共に、その役割を取り戻しつつある瞳が映す……
――白。
いや、白い天井と、白い……電気?
少し、視線を動かす。
やや広さのある天井の中央が、円状に盛り上がっている。
それはまるで、平面に垂れる水を思わせた。
それが白く、けれど温かみのない明るさを帯びている。
更に、天井の終わり、そこから垂直に落ちて行く面ですら、白。
どこか同化してしまいそうなそれは、ただ“白”という色だけを主張していた。
けれど、そんな異様とも言える景色の他に、もっと、根本的なこと――
――ここは、どこ?
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