無色に落とされた色は

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僅かに身をよじる。 不意に新たな色を、視界に捉えた。 白とは対照的な黒…… ――瞳を閉じた男の顔。 急速に、思考や理性が引き上げられる。 手の平が、優しい肌触りとその弾力を感じながら力を帯び、懸命に己の体重を支える。 視線が上昇し、眼下を這う。 白い布に触れている肌色。 取り巻く色のせいなのか、どこか白に近く見える――自分の手。 そして、それらと共に映し出されたのは、黒い服を身に付けた男―― ――そして自分を含め、その左右、白いベッドに横たわる、10人余りの人間。
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