無色に落とされた色は

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いや――生きてはいる。 自身を支える柔らかみに身を預け、その体はかすかに上下、一定に動いている。 性別も様々、年齢も比較的若年が多いように見えるが様々だった。 身体的特徴や衣服等にも同じことが言え、外見からは繋がりを感じない。 けれど、彼等に対しての疑問が渦巻く。 ――どの顔にも見覚えがない。 更にもう一つ、疑問がある。 確実に半身を持ち上げ、自分の手を再び眺めてみる。 そして、指先同士を軽く撫で合わせ、その感覚を確認し、想う。 ――私は誰?
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