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「なら嫌よ。現代において個人情報の保護は重要なんだから」
「今の状況で個人情報保護って。…まあでも、現代に置いてかれている俺が言っても仕方ないな」
ホームレス+極貧故に、ネットなどの脅威はイマイチ俺には解らない。
「現代の猿人ね」
「せめて原人しろよ!」
いや、それも何か違うな。
「それで生きた化石がなんで強盗なんかしたの?」
「もっと酷くなった!」
俺は怒気を込めて睨みつける。
「………」
「なによ。殺したくなっちゃった? いいわよ。さっさと殺しなさい。気が変わらない内に。さぁ、早く。ちゃちゃちゃっと」
本気でムカつく女だった。
人質だから殺そうと思えば殺せるが、殺したらこいつの言いなりになる…!
つまり、俺の唯一の抵抗はこいつを殺さず、罵倒に耐え続けること。
なんて屈辱的なんだ!
まあでも、こいつを殺さないのはそれだけではないけどさ。
「俺は強盗をしたけど、立て籠もりとか人質とか取る気はなかったんだよ。だから、殺しなんて御免だ」
「なによ、役立たず」
「役立……」
「どうせ股間にぶら下がってるモノも役立たずなんでしょ」
「……耐えろ。耐えるんだ俺」
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