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ん?
というか、耐える必要なくないか?
「そんなに死にたいんならこの建物の屋上から飛び下りればいいじゃねぇか。高さだってあるし、下はちゃんとコンクリなんだ。入社拒否をする受付嬢だっていないぞ」
「………」
女は一瞬驚きの表情を浮かべ、思案する顔となった。
「……くらい」
「あ?」
「……てたわよ」
何かボソボソっと喋り始めたと思った時だ。
女はいきなりキッと睨み付け、顔を赤くしながら大声で叫んだ。
「それくらい気付いてたわよ!! この馬鹿!!」
どうやら気付いてなかったようだ。
「今度こそ、邪魔しないでよね!」
「あぁ、しないしない。絶対にしない」
「じゃあね! 私は屋上に行くから、追ってこないでよね!!」
「追わねぇよ」
「それじゃ! さよなら! 短い付き合いでした!」
「あぁ、全く」
そして女子高生は階段へと消えていった。
「あぁ、疲れた」
俺は一日を振り返った。
強盗をして、仲間は警察に捕まって、人質を取って車で逃げ切って、廃ビルに避難したはいいが、人質が自殺願望者の上に性格破綻ときた。
「マジで、精神的にも肉体的にも疲れた。一日で起きたこととは思えねぇ。というか、明日からどうしよう」
仲間と強盗成功した翌日のことは、散ってそれぞれその金で人生をやり直すとしていたが…。
その時、俺は何故かは解らないが、人質に取った女子高生のことを思い出した。
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