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とりあえず、俺は彼女を手摺りから離れた位置に連行した。
そして二人揃ってその場にへたり込んだ。
滅茶苦茶疲れた。
「何のつもりよ!? 邪魔しないって言ったじゃない!」
彼女は当然の怒りをぶつけてきた。
「いや……はぁ……まぁ…ぜい……そうなん……だ……けどさ」
呼吸が整わないせいで、上手く話せない。
しかし、当然ながら彼女は納得せず、憤慨している。
「はぁ? 意味わかんないこと言ってんじゃないわよ! 説明しなさい!」
俺は呼吸を整え、とにかくやめるように説得した。
勿論、説得する理由は話さない。
短時間ではあるが、こいつが俺の私的理由でやめることはないと解っているからだ。
「今自殺するのはやめてくれ」
「なんでよ!?」
「別に自殺なんていつでも出来るだろ?」
「今回の件で失敗した回数は十九回目よ! そして現在進行形で二十の大台に乗ったわ!」
なんという幸運だ。
分けて欲しいくらいだ。
「解った。それじゃ、自殺する前に警察署へ行ってくれ。それなら俺も文句ない」
「私があるわよ! 警察なんかに行ったら、今回の件の事情聴取が待ってるに決まってるじゃない!」
「いや、そうだろうけど…」
「とにかく嫌よ!」
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