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俺と真沙美はさっきの部屋に戻った。
他の部屋はゴミ屋敷みたいに物で溢れかえっていたり、扉が開かない。
しかし、この部屋はベットやソファー、鏡台など適度に物があり、空間もある。
まぁ、流石に汚れてはいるが。
先に戻った真沙美はベットに転がり、既に寝ていた。
もうこいつの横暴ぶりには慣れているため、勝手にベットにしたことにとやかく言うつもりはない。
何より、ここに連れてきたのは俺だしな。
俺はソファーに転がった。
しかし、不思議な感じだ。
本来、人質というのは強盗犯に怯えるものだし、強盗犯は人質の行動を制限したり奪うのが当然だろう。
なのに、真沙美は怯えないし、俺は真沙美の行動を奪う気にならない。
むしろ、どっかに行って欲しいと思っているくらいだ。
……でも、これは状況が状況だな。
まさか人質が自殺願望者だとは思ってもみなかった。
自殺者の年齢層が低下しているとは聞いたことあるが、まさかこういう形で被害に遭うとは。
……いや、立ち位置的には俺が加害者なんだけどさ。
どうも、主観と客観のギャップがでかいな。
「強盗もやりにくい世の中になったものだな」
俺は呟くように言い、眠った。
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