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睡眠には四段階あるというのは知っているだろうか。
それぞれの段階の詳しい定義は忘れたが、俺の睡眠レベルが精々二段階くらいの時だった。
真沙美が起きる気配があった。
そして、真沙美は大慌てに部屋から出て行った。
なんだ?
まさか自殺か!?
よくよく思い返せば、あいつは自殺をやめるなどと一言も言っていなかった。
まずい!
俺も大慌てで真沙美の後を追った。
スタートから大分差が出たため、間に合わないかも知れないがとにかく追った。
殺人という名の自殺を着せられるのは御免だ!
だが、真沙美にはすぐに追いついた。
真沙美は一階上の部屋、物が溢れかえっている部屋に四つん這いになっていた。
「う……」
真沙美は嗚咽を漏らしていた。
泣いているのか?
……まぁ、無理もない。
いきなり攫われれて、こんな訳の解らない状況に落とされたんだ。
彼女にも日常があっただろう。
俺の胸中に罪悪感が芽生え始めた時だった。
「う…おえぇぇ……がふ…」
という嗚咽の後に、ビチャビチャっと液状音が鳴った。
え?
ビチャビチャって……
そして直後に、俺の鼻は不快な臭いを感知した。
……あいつ、吐いてやがる。
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