短編 少年Cと少女A

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「冗談だと思ってるの?」 真面目な顔で彼女が訪ねた。 「俺は現実主義だからな」 真面目な顔で俺は答えた。 「あなたは飛べないのね。私は飛べるわよ」 「あーはいはい」 ムッとした顔をしてから、彼女は開け放たれた窓から身を乗り出して、両手を横に伸ばした。 そして目を閉じる。 風が彼女の髪を泳がせた。 沈黙。 「ね?」 コチラを向いて彼女は得意げに小首を傾げた。 何故だかわからない。 本当に何故だかわからないんだけど、 あぁ、人って飛べるんだ…。 と思った。 そんな午後5時過ぎ、職員室から教室の様子が見えたんだろう担任が怒鳴りにくる4秒前。
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