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誰よりも速く走りたかった。
そして、少しでも近づきたかった。
あの青い空へ――。
駆けっこで負けた事はない。なんて事はない。
でもいつからか、はっきりとした記憶はないけれど、小学校の高学年に上がった頃には、僕が運動会の花方であるのは当たり前の事として認識されていた。
僕は速く走れるようになりたくて、毎日、家の近所をぐるぐると、周囲に呆れられる程に駆け回っていたので、当然といえば当然の結果だった。
しかし僕の興味や目的は、運動会ではなく、ましてや体育の成績などでもなく。
ただ、空が飛びたかったのだ。
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