Pattern1 少年Aの方法

2/5
前へ
/13ページ
次へ
誰よりも速く走りたかった。 そして、少しでも近づきたかった。 あの青い空へ――。  駆けっこで負けた事はない。なんて事はない。 でもいつからか、はっきりとした記憶はないけれど、小学校の高学年に上がった頃には、僕が運動会の花方であるのは当たり前の事として認識されていた。 僕は速く走れるようになりたくて、毎日、家の近所をぐるぐると、周囲に呆れられる程に駆け回っていたので、当然といえば当然の結果だった。 しかし僕の興味や目的は、運動会ではなく、ましてや体育の成績などでもなく。 ただ、空が飛びたかったのだ。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加