Pattern1 少年Aの方法

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2日後。 昼食を食べている時、よく一緒に食べている先輩に言われた。 「お前、部活辞めたんだって?」 先輩は部活の先輩ではなく、中学が同じだったわけでもなく、 たまたま同じ場所でご飯を食べていて、なんとなく喋るようになっていて、仲良くなっていた僕の多いとは言えない友達の1人で、だからこそあまり触れられたくない話題だった。 「先生に探り入れるように言われたんですか?」 「お前そんな目かけて貰える程の選手なのかよ」 鼻で笑われた。 「ですよね、言ってみたかっただけです」 と自分も笑った。 しかし実は、わからなかった。本当に。 周りに興味がなかったから。 「ずっと続けたのは知ってた。それを急に辞めたなんて聞いたら気になるのが人情だろ」 同級生や先輩にもきかれた。 正直に話したら、笑われたり、真面目に話せと怒られた。 「笑いませんか?」 「さあ」 先輩にまで笑われたら僕は落ち込んでしまうかもしれない。 自分でも頭悪い自覚があるだけに。 「言いたくありません」 「じゃあ笑わない」 僕は大きくため息をついた。 「じゃあ、なんで走ってたんだよ。理由も無しに続けられないだろ。毎日何時間もしんどい目なんて。…お前まさか噂にきくマゾか!?」 僕はまた大きくため息をついた。 撤回。 僕はこの人に笑われても痛くもかゆくもない。 「僕は…、僕は空が飛びたかったんです。 ほら、飛行機とかみたいに。走って勢いつけて、っぽーんって」 先輩は約束通り笑わなかった。いや約束していなくても笑わなかっただろう。 ただ口をぽかんと開いて、目をぱちくりさせて「お前天才じゃね!?」と言いながら、上がりきったテンションで僕の頭を、大型犬のそれのように、わしわしと髪を掻き混ぜた。 ちなみ先輩の選択は美術である。どうにもなかなかの天才肌で、突拍子もない先輩の行動や感性に、常々、僕はついていけない節があったが今回もチンプンカンプンである。 「で、それで空は飛べたのか!?」 目をキラキラさせて聞いてきた。勿論僕は即答。 「人が飛べる訳ないじゃないですか。 気づいたから陸上は辞め「人が飛べるか飛べないじゃなくて、お前は飛べたのかきいてるんだ!!」
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