Pattern1 少年Aの方法

5/5
前へ
/13ページ
次へ
目を閉じて深呼吸。 位置につく。 「用意」 の合図。 心の中で「いち、に」と数えると、辺りに轟く「パーン」という音と火薬のにおい。 ママチャリより速く走れても、自動車になんて敵うはずもない。 それでも、目ぇいっぱい、風をきって走った。 見上げると空は青くて、高くて、太陽もガンガンと力強くて。 そこは僕のずっと目指していた場所で。そのもので、そのままで。 「飛べてたかも……しれない」 「かもってなんだよ。 前言撤回。 やっぱお前馬鹿だ。 さあて、馬鹿は馬鹿なりに確認してこい馬鹿」 「そう……ですね」 その日の放課後、入部届けを提出した。 退部届けが受理されてすらなかった。 「お帰り」 顧問はそう言って、僕の背中を2度叩いて笑った。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加