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目を閉じて深呼吸。
位置につく。
「用意」 の合図。
心の中で「いち、に」と数えると、辺りに轟く「パーン」という音と火薬のにおい。
ママチャリより速く走れても、自動車になんて敵うはずもない。
それでも、目ぇいっぱい、風をきって走った。
見上げると空は青くて、高くて、太陽もガンガンと力強くて。
そこは僕のずっと目指していた場所で。そのもので、そのままで。
「飛べてたかも……しれない」
「かもってなんだよ。
前言撤回。
やっぱお前馬鹿だ。
さあて、馬鹿は馬鹿なりに確認してこい馬鹿」
「そう……ですね」
その日の放課後、入部届けを提出した。
退部届けが受理されてすらなかった。
「お帰り」
顧問はそう言って、僕の背中を2度叩いて笑った。
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