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〈ポーン、ポーン〉
あっ、また鳴った。今のは小さかった感じがしたけど、離れてんのかな。どこから聞こえてんだろ? 木で向こうっ側は全然見えないし。さっきから、思ってたけど、ここの木ってこんなに高かったけ。もしかして、いつのまにか植林とかしたのかな。いや、そんなのやってるって聞いたことないし、やってたとしても木が育つのに何年かはかかるはずだし。足痛ぇな。下が舗装されてたらもっと歩きやすいのに。あっ、でも環境的にまずいのかな。うんっ? なにこれ。チョコレートの袋? あっ、あっちにも。あっ、もうひとつ。今まで、こんなゴミ落ちてなかったのに。どんどん続いてる。もしかして…ああっ、やっぱり! なんか、アイツのとこから落ちてってる。山田のヤロ~、一人で食べ尽くす気だな。水のときといい、なんで、アイツには分けようっていう発想がねーんだよ。
「山田ぁ俺にもよこせぇ!」
痛ぇ、全力で走るとマジ痛ぇよ。ちょっと足引きずり気味だし。でも、チョコレートをゲットするためなら。
「オイ!俺にもよこせよ」
って、うっそー走り出したよ。
「待て、待て、待てったら!」
コイツは足は速くなかったはず。今の俺でもなんとか、あともうちょっとで肩に手が、ってつかんだ瞬間振り払われたよ! チョコレートごときでどんな人だよ。
「チョコレートなんかで振り切ろうとすんなよ。俺、マジで足痛いんだって!」
おっ、立ち止まった。振り返って、なんか投げた。でも、全然届いてねーじゃん。痛ぇー、ダメだもう歩こう。向こうも歩きだしたし。
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