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「偏りすぎなんだよ!俺にもその色食わせろ」
ってオレンジも切れたよ。
「で、今何時?」
うわっ、
「いきなり目の前に突き出すなよ。口で言えばすむことだろ」
ったく。
「これ、誰? グラビアかなんかの人? 見たことないんだけど。あんまり可愛くねぇな。時計でてないじゃん。うんっ? これロックかかってなくない? キー操作無効になるんだけど」
このヤロ~
「チョコレート食ってないで、解除しろ! 人に渡しておきながらロックかけてるとは、なに考えてんだ」
肩ガックリ落とすなよなぁ、相手してるこっちの身にもなれっつーんだよ。
「解除できた?ついでに時計も表示させろよ」
いちいち、ケータイ閉めんなよな。どーせすぐ見るってわかってんのに。液晶の文字デカッ!
21:33
「……全然あってねーじゃん!なんでズレてんだよ。つーかあわせるだろフツ
ー」
うっそー、マジで。ケータイの時間あってない人はじめて見たよ。
「お前、よりによってこんなときに。はぁー、なんかマジ一気に疲れたよ。ほらよ。家帰ったら時計あわせとけよ」
あーもうなにコイツ。もういいや、時間なんかどーでもいい。とにかく先に進むしか
「だから、ケータイを振るなよ。それで時間合うのかよ。もう行こーぜ」
あとどんくらい歩いたら着くんだよ。足痛ぁ~。
「俺足けっこうヤバイから、俺にあわせて歩いてくれない。だいたい、お前が、さっき逃げたから追いかけてよけいひどくなったんだよ!」
「わがまま」
「なんだとぉ~こっちはお前のせいでいらぬ苦労をしてんのに、お前がもっとフツーにしてくれたらなー、物事はもっとスムーズに、なんだその顔は!」
口開けたままで、ふざけた顔しやがって。ハハッ、一歩引いてやがんの。また、肩つかまれると思って、それ警戒しすぎだから。
「落ち着けよ。甘いものでも食って。甘いものは精神を落ち着けるんだから」
紫色のチョコレート渡されたけど、まだ持ってたのか。
「紫のやつが好きなんじゃないの。俺まだ持ってるから食えば」
ちょっとは反省したのかな。まっいいや。せっかくだからもらっとこー。甘いものがイライラを抑えるかは知らないけど、紫になにが入ってるのかは気になる。
「行こうってぐらい言えよ。いや、こいこいじゃなくて」
ホント、一言がないよなー。
「ゆっくり、行こうぜ」
と肩をつかむ。ほ~らシワを気にしだした。
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