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しかし、卓球であんなに痩せるもんなのかよ。サッカーが一番運動量多くて、次がバスケだったはずだけど、テニスならまだしも卓球ねぇー。
「太田ってさぁ、中学入ってから急激に痩せたよな。卓球であんなに痩せるもんなのかよ。アイツここに来るたんびにビビって一人ではぜったい来ようとしなかったんだぜ。一人でしか来なかったお前とは大ちがいだな」
いっしょに行く人がいなかっただけだろうけど。
「太田は確かに痩せた。アイツは根性あるからな」
「根性? 太田はお前、そういうのから一番遠くにいるやつだぞ。痩せてもビビりはなおんなかったし。よく関西なんかに行く気になったと思うよ」
太田はコイツと時たましゃべってたっけ。
「太田は肝の据わったやつだよ。俺らの世代ではヤツか竹中だろうな」
こっち向いてしゃべろよな
「竹中ぁ? アイツも大人しいイメージしかないけどなー。いっしょのクラスなったことないからあんまりよく知らねーけど。太田のどこが肝がすわってるつーんだよ。昼間ですらここに来れなかったんだぞ」
「アイツはな、小学校四年の五月に俺をつれて寿司屋に行ったんだぞ。二人で。しかもアイツは次々ネタを注文していったんだよ。平然とな。タダもんじゃないと思ったよ」
「…はっ? それがどーした。たぶんいつも親とかとよく行ってる店なんだろ。寿司屋に行ったぐらいでどーしたっていうんだよ。それのどこがすげぇんだよ。なに首かしげてんだ。言いたいことがあるなら」
〈ポーン、ポーン、ポポーン、ポポーン〉
今最後のところ、なんか連続だったんじゃ。どっち側から聞こえてんだ。
「この音って、ホントなんの音? どっから聞こえてんの」
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