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って、おいおい
「いきなり、ダッシュすんなよなー。なに見てんの、なんかあんの」
視線の先には
「なにこれ、なんの実?」
赤くて粒粒で葡萄をすごく小さくした感じだけど。
「こんな実がなる木があったんだ。はじめて見た。ガキのころはこんなの見たことって、オイ、なに食ってんだよ!なんの実かも知らないのに。やめとけって!」
いくらお腹空いてて、のども渇いてるからって。
「なに素で次々とって食ってんだよ。知らねーぞ。なに?ケータイがどうした。なんの写真。あれっ?これって、この実じゃねーの。今、撮ったのかよ」
「ちがう。それは図鑑から撮ったんだ。この中に保存してある写真のやつなら食べても大丈夫。お前も食ってみろよ」
って差し出されても。
「マジで、ホントに食えんのかよ。っていうかなんでそんなこと調べてあんだよ。お前、そんな趣味あったけ」
次々木から取っては食ってるけど。う~んいってみっかぁ。のど渇いてっからさぁ、正直水分のあるものだったらなんでもいいって思ってたところでこの展開かよ。360度見回しても特に怪しいところは…どうなんだろ? 口の中で噛んだ瞬間、甘さとともに水分は広がりそうではあるよな。甘いのはもういいけど。一口サイズがパクッといかせたくはなるなー。よしっ、アイツも次々食ってるし、いってみっか。死にゃあしねぇだろ。せーの、おっ、思ったほど甘くはないけど、逆にいいや。プチプチして歯ごたえはいいし、なにより、水っ気があるから、のどが潤う。うん、これならいくらでもいける。
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