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「口の回り、汚ねぇな。ついてんぞ」
髪かきわけりゃいいのに。暑っ苦しい。
「髪わけろよ! うざくねぇのかよ。っいうか見てるこっちがうざい!」
「いちいちうるさいなぁ。俺より髪長いお前が言うなよ。なんだよそのヘアピンは」
「ヘアピンじゃなくて、カチューシャだよ!どこがピンだっつーの。もう行こうぜ。のどだいぶマシになっただろ。これ以上食っても腹の足しにはなんねぇよ。それよりも、早く家帰ってまともなメシが食いてぇよ」
手前にあるのどんどんとりやがって、持てるだけ持とうってことか。
「ほら、もう十分だろ。行くぞ」
歩きながらも食う勢い止まんねぇよ。そんなうまいか。あー、やっぱ足の別んとこも痛くなってきた。いっそサンダル脱ごうかな。いや、もう遅いか。
「わっ、いいよ、俺はもういらないって。お前一人で食えよ」
いきなり人の口のところに持ってくんなよなー。食べる?って一言言えばすむものを。それをそんなにうまそーに食べるお前がわかんねぇよ。
〈ポーン、ポーン〉
今のは通常バージョンだ。気になんないのかなコイツは無反応だけど。本格的に降りになってきたな。足にひびく。でも、もう着くだろ。その前にケータイとりに行かなきゃな。あるかな。つーか店開いてるかな。夕飯までには着くだろうけど。家帰ったらお母さんになんて言い訳しようかなー。
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