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「下着濡れた。ずぶ濡れだよ。替えのやつ持ってないんだぞ」
「俺だって替えは持ってねぇよ。だいたい、お前が、いきなりかかってくるからだろうが。水の中入ったら急にテンション上げやがって。いきなり裸になるし」
座り込んだまま、うつむいて、ちょっと強く投げすぎたかな。でも、とっさのことだったし。
「いつまで座ってんだ。立てよ」
「だから、トランクス…着ただろ…ちょっと…俺もハメを外しすぎたと思うけど」
なんだ? もしかして裸になったこと、恥ずかしがってんのかな、今さら。
「なに今になって急に恥ずかしがってんだよ。テメェの裸なんか見たって別になんとも思わないし。それだったらはじめっからフルチンになんか、なるなよなー」
「ウオー」
「だからなんなんだよ! ばか、やめろって、そんなことしても、テメェになんか、や、め、ろって、いってるだろーが!」
マジでなにコイツ。裸見られたのがそんなにマズイことだったのかよ。あちゃーまたきれいに投げちゃったな。どっか石にぶつけなかったかな。大の字になって動かないけど。
「どっか打たなかった? ほら」
うわぁ、差し伸べた手を払われちゃったよ。
「もう上がんの?」
うつむいて歩いてくなよなぁ。夕日に照らされる背中が寂しい。
「悪かったよ。ちょっと強くやりすぎたよ。でもお前が急に向かってくるから」
砂利の上で横になっちゃったよ。痛くないのかな。あっ、もう一回起きて、石除け出した。やっぱ痛いんじゃん。でも、体育の授業で柔道やっても引き分けが最高だった俺にあんなにきれいに投げられるとはやっぱコイツは相当なヒョロ男だ。また横になった。とりあえずそのままにしておこう。さて、どうしたもんだろう。戻るっていうのは…ないな。
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