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幸子はため息をついた。
「―今晩は」
「はあ…」
相変わらず幸子がどう接して良いのかわからず黙っていると智ちゃんが口を開いた。
「―彼、作家なんだ。藤原義夫さん」
「―作家?」
「全然、売れないんですけどね」
本人が言った。
―作家か…
小さい頃幸子の夢は、作家になることだった。
智ちゃんはそれを知っていた。
「―じゃあ、僕はお客様がいるので」
そう言い、智ちゃんはさっきの女性のところに戻った。
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