机の角

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チナミはクラス一の美男子の俺の席に、休み時間の度にやって来る。 宿題を忘れたから写させてほしいと言って来る。 もしも俺が宿題を忘れていたら(優等生の俺にはそんなことあるわけないのだが)、写させてあげるよと言って来る。 シャーペンの芯が無くなったから一本頂戴と言って来る。 チナミの家で飼っている猫がここ数日帰って来ないのだが、知らないかと言って来る。 口実なんてなんでもいいのだ。とにかくチナミはくだらない話題を携えて休み時間の度に俺の席にやって来る。 きっと俺に気があるのだろう。 だがご免蒙る。 俺はチナミが大嫌いなのだ。 でもそんなことを言ったらクラスの男どもは安堵する一方で俺を憎々しく思うだろう。 チナミはクラスで一番人気があるのだから。 だから俺は女全般に興味がないのだということにしている。 それは半分は真実だ。 女にというより、性的なものに興味がないのだ。 だから友人たちがオナニーについての話をしていても、俺はエヘラエヘラ作り笑いを浮かべて聞き流しているだけだ。 オナニーなんてやったことないのだから、そんな会話に全然ついていけないのだ。 そんな俺だからチナミなんかに興味があるわけがなく、辟易しているそぶりをいつもモロに態度で表しているのだが、チナミは構わずやって来る。 鬱陶しくてたまらないのだが、席を立つのもだるいし、なにより自分がチナミの攻撃に負けて逃げ出してしまうのが許せないので、俺は席に座り続けて悠然と構える。
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