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「ハードルやってるんですか?」
呟きの続きを頭の中で膨らましていると、ふいにそんな言葉が割り込んできた。
「そうだよ。入部希望…か……な…」
声の方に振り向きながら動かした口は、ふいな衝撃に動きを鈍らせる。
振り向いた先には……。
シミやほつれの1つも見当たらない制服を着た新入生であろう女子が立っていた。
しかし、衝撃を受け止まりかけた思考は、瞬時に頭をよぎったものにより通常に戻される。
「私、中学からハードルやってまして!高校でもハードルやろうと思ってるんです♪」
無邪気な笑顔と高いトーンで話し掛けてくる女子。
「そうなんだ!これからよろしくね♪」
さっきの衝撃を忘れたかのように、俺の口は声とともに自然に動く。
ハードルの上部を握り潰すかのごとく掴んだ手の力を糧にして…。
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