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「俺…は…」
考えれば考えるほど、余計に苛ついてくる。
答えられないままでいる俺の頬に、緑川の手の平が触れた。
その途端、あれほど荒れていた心が、静かになっていった。
…何だよ、簡単なことじゃねぇか。
「…俺も、好き…かもしんねぇ」
それも歪んだ愛情。
俺にはそれしかない。
「そ、か…」
俺の答えを聞いた途端、少し色の無かった頬が赤く染まった。
あぁ、くそ、こんなことでさえも可愛いと思えてきた。
「けどよ、俺の愛し方はこれだけだ。それでも良いんだな?」
「寧ろ本望だよ。…不動に殺されたいぐらい」
何だ、こいつも相当イカれてるんじゃねぇか。
「その時が来たら覚悟しとけ」
「楽しみだ」
さて、狂劇の幕開けだ。
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