drei

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「あ、遠藤カヅキです。よろしく」 「こっちこそ」 やっとこ我に返ったカヅキは、改めて名前を言い、ペコリと頭をさげた。 佐倉冬史郎も真似をする。 それから、お互い笑顔。 「今日はもう、寮に帰っていいみたいだよ」 「そうなの?つーか…」 「何?」 冬史郎の台詞で思わずまわりを見渡すと、他の生徒達も同じ部屋になった人(らしい)同志で教室を出ていくところだった。 2人もその流れにのり、カバンを持ち歩きだす。 「何で俺の名前知ってんの?」 「プリント配られたじゃん。皆の席順が書かれたやつ」 「は?貰ったっけ?」 「貰ったよ。はは!遠藤くんウケる」 「や、まじで気付かなかったし」 「気付けよー」 「考え事してて…」 「どんだけだよ」 笑う冬史郎の横で、カヅキもつられるように力なく笑った。 まさか生徒会長にキスされて、それが案外嫌じゃなかったのが嫌で、パニくってましたとか言えない。 ていうか言えるかい。 恋愛とか人の好みは自由だが、そんな価値観差し置いても、初対面の人間にそんな事言ったら引かれることコレ確実である。 しかも話してみれば、佐倉冬史郎くんは何だか良い奴そうだ。 寮で同室なのだから、仲良くするにはこれからが肝心。 人付き合いは慎重に。 意思の疎通が下手くそだと言われるゆとり世代だって、コレくらいは考えるのですよ。
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