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…夜9時…
~某所 アパート~
「あぁ?エンジンブロー!?」
『あぁ…とりあえず、車両は路肩に停めたから大丈夫なんだがよ…キャリアカーが使えるの明日なんだよ。だからさ迎えに来てくれないか?』
「ったく…無計画にパワー上げっからブローなんざしちまうんだよ。んで?場所は?首都高か?」
『箱根峠だ』
「よりによって箱根峠かよ……わあったよ、今から行くからちゃんと待ってろよ」
『恩に着るぜ!』
突然、友人から電話が掛かって来たらこれだよ…
ったく、あのバカは何度ブローさせりゃ気が済むんだ?
いい加減、学習しろっての!
俺は急いで寝間着のスウェットを脱ぎ捨て、普段着に着替えた。
そして、下駄箱の上に置いてあるカギを持ち、玄関へ出る。
「さぁて、ちゃちゃっと行っちまうか」
カンカンカンと古びて錆びた階段を降りて、横にあるガレージへと向かう。
因みにシャッター付きで広さはクルマの1.5台分のスペースなのだ。
しかもアパートを契約している者はタダで利用化。
なんとも魅力的なガレージである。
そして、なんやかんやでガレージに到着し、少し重たいシャッターを開けた。
すると月明かりに照らされ、"蒼くて"威圧感漂う"JZZ30 ソアラ"の顔面が現れた。
ムラも無く綺麗に纏まったメタリックブルー。
ワンオフ(特注品)でドライカーボンで造られた、T&E製ベルテックス フロントバンパー、サイドスカート、リアバンパー
渋くブラックに輝くウェッズSA-55Mブラックブルーマシニング仕様(アルミホイール)
一目で厳ついチューニングを施していると分かる、この車両が俺の愛車である。
もちろん中身もとことんチューニングしてある。
俺はソアラに乗り込み、キーを捻ってエンジンを始動させ、眠りから覚ましてあげた。
キュルルル…
ゴヴォァ!
ヴォォォォ…
ギアを一速に入れ、アクセルを煽りながらクラッチを離した。
ヴォォォォ…
ゴヴォァァァ…
さぁ、アイツが待っている。
さっさと箱根峠へ向かおう。
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