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さて、どうしたものかしら…買い物に行った帰りに妖怪に出くわすなんてね…
最近、働き詰めちゃったせいか能力を使うと倒れちゃいそうだし…こんな事なら美鈴にでも行かせれば良かったわね。まぁとりあえず文句は目の前の妖怪を潰してからにするとしましょうか!
私は手持ちのナイフを数匹の妖怪に目掛けて投げまくった。が…
「アンタたち、一体何を食べたらそんな体になるのかしら?」
私が投げたナイフは妖怪に刺さることなく、跳ね返されてしまった…全く生意気な妖怪ね。
とボヤいていると…
「グワァァ!」
ザシュ!
「ぐッ…」
隙を取られ、妖怪の攻撃を食らって右肩辺りを負傷。体が硬い上にすばしっこいようね…
私はスッと飛ぶように後ろに下がり、間を取ろうとした…
しかし、不運は続けて私に降り掛かってきた。
着地した際にぬかるんだ地面に足をとられて転倒してしまったのだ。
私は急いで立ち上がり体勢を整えたのだが……
「グルル……」
既に時遅し。
囲まれてしまったのだ。そしてジリジリと近づく妖怪。
絶体絶命のピンチ…
「お嬢様…申し訳ありません」
私は抗うのを諦め、目を瞑って妖怪の攻撃を受ける事にしたのだ。
あぁ…ここで私の命は終わるのね。
「グワァァ!」
ヴォァァァ!
バシュルル!
「グワァ!?」
ヴォァァァ…
ゴヴォァァァ…
何?この音?
新たな妖怪の雄叫びかしら?それに、奥から眩しい光が…
ヴォァァァ…
ズシャァ!バキッ!ゴキッ!ベキッ!
「グワァァ」
「グギャァ!」
「グガァァ…」
私は目を疑った。
突然現れた、大きな物体によって妖怪達は弾き飛ばされ、瞬時に撃退してしまったのだ。
そういえば、あの物体…何か見たことあるわ。たしか、あの"嫉妬"が能力で出した乗り物に似てる…
ガチャ…
すると、乗り物から一人の人間らしき面影が見えた。
乗り物から放たれる光のせいでほとんど見えないが…
「うわ…いきなり、ぬかるんだトコにタイヤを踏んじまったから急にスリップしちまったな。おかげでノーブレーキで轢き殺しちまった…」
男性らしき人物は一人でブツブツ言いながら乗り物を見ていた。だが、こちらの存在に気付いたのか急いでこちらに向かってきた。
「オイ、大丈夫か!?」
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