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言いながら教官は、机の後ろに設置されている透明なボードを叩く。
ボードには精密な世界地図が表示されており、その上から勢力別に分類された色が表示されている。
教官は、その色の内黄色に分類されているエリアを再び叩く。
「貴君等も承知の通り、我々が現在航海中の海域は、我が国の所有物だ。しかし、それでも侵入してくる輩は多い、そして……」
長々しい話しにうんざりしたのか、机に突っ伏していた庵(いおり)が、
「長い話なら寝ますよー?」
と、教官を茶化す。
普段ならここらで教官が切れ、ブリーフィング処では無いが、今日の教官はいつもと違い、やたらとにたにたしている。
そんな教官の態度に、嫌でも危機感を感じざる御幸(みゆき)。
「実は、この近辺の海域を捜索している偵察機からの連絡が途絶えた」
そして、御幸のこの危惧は、見事的中するのである。
教官は相変わらずにたにたしながらこう言った。
海のど真ん中を飛んでこい、と。
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